足の甲がつる/つりやすい

足の甲がつるとは
どういう状態?

足の甲がつるとはどういう状態?「つる」という現象は、手足の筋肉が異常に収縮したままになってしまう状態です。筋肉の伸び縮みの調和が取れていないために起こります。急な身体の動きで生じることが多いですが、冷え、熱中症、栄養や水分の不足、急な寒暖差でも生じる場合があります。
寝ている間に足がつって目が覚めてしまうこともあり、時々起こる程度であれば無視できても、思い当たる理由がないのに頻繁に発生して生活に影響が出るとすれば、筋疲労以外の理由が考えられます。
以下では、足のつりやこむら返りが起こる理由と予防法をご紹介します。

足の甲がつる原因

身体の疲れ

普段使わない筋肉をたくさん使ったり、運動や仕事で筋肉を使い過ぎたりすることも原因となります。腱を適切に動かせるのは、筋肉の伸びが限界だと脳に伝えられているからです。
身体が疲れると筋肉に乳酸が蓄積し、脳に伝える働きが上手くいきません。そのため、急に身体がふくらはぎを縮めると「足がつった」状態となります。


水分や電解質の
不足、異常

運動や夏の暑い時期に汗をたくさんかくと、脱水症状を起こすことがあります。脱水になると体内で電解質のバランスが崩れてしまい、筋肉や神経の働きが調整できなくなってしまいます。そのため筋肉できちんと代謝が起きず、足がつりやすくなってしまいます。
脱水を予防するためのミネラル水に電解質が含まれているのは、水分だけでは電解質の状態を正常に戻せないためです。

筋肉の老化

運動ニューロンと呼ばれる神経細胞が少なくなると足のけいれんが起こりやすく、つりやすいとされています。歳をとると減少しますが、若年者でも身体を動かす機会が減っていて足の筋力が低下していることがあります。以前よりもジャンプする、しゃがむといった機会が少なくなり、筋肉を伸び縮みさせて柔軟にするタイミングがないためです。
その他、長時間身体を動かさない状態が続き、特定の筋肉を伸ばせていない時も足がつりやすくなります。

利尿作用がある
お薬の内服

利尿作用があるお薬を服薬している方は、足がつりやすくなる可能性があります。具体的には、降圧剤、腎疾患のお薬、肺炎のお薬などが挙げられます。しかし、自己判断でお薬を中断することはやめましょう。これらのお薬の服用以外にも水分や電解質の不足を伴っているケースも多いです。

足がつる原因には個人差がありますが、仕事場の環境や生活習慣の他、病気が原因の可能性もあります。
足がつる他に体調の変化や不調を感じている場合は、一度当院までご相談ください。

足の甲がつる時に
考えられる病気

生活習慣は今までと変わらないのに足が何度もつるようになった場合、病気が原因の可能性があります。

糖尿病

糖尿病になるとよくあしがつるようになります。これは高血糖が原因の脱水、電解質のバランスの乱れ、末梢神経の過剰な興奮によって生じます。

下肢閉塞性動脈硬化症・下肢静脈瘤

末梢血管の血行悪化によって生じるとされています。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠不足が続き、疲れやすくなるため筋肉がけいれんしやすくなります。

心不全

全身の水分代謝に異常が起こるため、足がつりやすくなります。

腎不全

特に透析を導入されている方では、かなりの頻度で発生します。

甲状腺機能異常

甲状腺ホルモンの分泌量が減少すると血行不良が起こり、筋力が低下するためつりやすい状態となります。

脳腫瘍・神経疾患

神経系に異常が起こると、筋肉のけいれんが生じやすい状態となります。

うつ病・自律神経失調症

過剰な交感神経の緊張によって筋肉のけいれんが起こりやすくなります。

薬物性

一部の利尿作用を持つお薬、抗不整脈薬、脂質異常症の治療薬の服用でけいれんが生じる場合があります。

椎間板ヘルニア・
脊椎管狭窄症

脊髄神経に負荷がかかるため、つりやすくなります。

布団の中で伸びをすると
足がつるのはなぜ?

布団の中で伸びをすると足がつるのはなぜ?就寝中に伸びてパジャマが脱げたりすると、体が冷えて血流が悪くなり、足がつりやすくなりますが、身体を冷やしにくいパジャマを着る、エアコンの設定温度を低くしすぎないといった対応策で予防できます。また、就寝中でも呼吸や蒸散により身体から水分は失われています。水分不足になりがちなので、就寝前には水分補給する習慣をつけましょう。

足の甲がつりやすい時の
予防法

身体を冷やしすぎない

血流が滞ると足がつりやすくなります。身体が冷えると、血流悪化に加えて筋収縮も生じやすい状態になるため、身体を温めて血流を良くしましょう。
夏の夜にエアコンの効きすぎで足がつる方は非常に多いので、予防のために設定温度は高めにし、就寝時には布団をきちんとかけるようにしましょう。冷たい飲み物や食べ物を好む方は、なるべく温かいものを選ぶのも効果的です。

水分をきちんと摂る

水分不足やや電解質の乱れが起きると、健康でも足がつりやすい状態になります。汗をかくような活動をした後は、意識して水分補給を行ってください。
水分補給の際は、むやみにスポーツドリンクを飲まないようにしましょう。もし糖尿病が原因の場合、スポーツドリンクはより血糖値を挙げてしまうためです。水やお茶、白湯を飲みましょう。栄養バランスがとれた食事を摂っていればスポーツドリンクは不要です。

湯船に浸かって温まる

湯船で全身を温めると筋肉が緩み、自律神経も整います。足のつり予防に大きな効果を発揮しますので、シャワーで済ませるのではなく湯船に入りましょう。お湯の中で足をマッサージすると効果がより現れやすくなります。入浴後は水分補給を忘れないようにしましょう。

ミネラルやビタミンなどを摂取する

足のつりの予防に有効とされている栄養素は、マグネシウム、カルシウム、ビタミンB1、クエン酸、カリウムなどがあります。
マグネシウム:ごま、あおさ、アーモンド、キノコ、わかめ、あおのり、干しエビ
カルシウム:小魚、切り干し大根、小松菜、納豆、ヨーグルト、豆腐、菜の花、海藻
ビタミンB1:うなぎ、豚肉、玄米、鰹節、たらこ、ごま、大豆
クエン酸:レモンなどの柑橘類、梅干し、お酢、キウイやパイナップルなどのフルーツ
カリウム:みかん、バナナ、トマト、野菜、豆類

足の甲がつった時に
即効性のあるツボ

足の前側の筋肉が痙攣して甲側に反ったら足三里のツボを、ふくらはぎの筋肉が痙攣したら陽陵泉を刺激します。両手の親指を重ねて強い力で押し込み、痛みが和らいで痙攣が止まるまで続けましょう。

足三里(あしさんり)

膝の皿下の外側にある凹みから約5cm下側(指3~4本分)に位置する骨と骨の隙間。

陽陵泉(ようりょうせん)

膝の皿下の外側にある骨が出っ張った箇所のすぐ下に位置する凹み。