トリガーポイント注射

トリガーポイント注射とは

トリガーポイント注射とは圧迫すると痛いツボをトリガーポイントと言い、トリガーポイント注射はそのツボに打つ麻酔薬の注射です。皮膚から0.5~1cmの浅い部分、あるいは筋膜周辺に注射を行います。合併症が起こることは少なく、整形外科でよく行われる保険適応の治療です。
バイアスピリン、ワーファリンなどの血液が固まりにくくなるお薬などを服用されている方も受けて頂けます。

トリガーポイント注射の
効果

  • 麻酔によって痛みを感知しないようにすることで、脳に伝わる痛みを遮る
  • 痛みが原因で起こる交感神経の興奮を抑制し、血流を増加・血行を改善する
  • 血流が良くなることで痛み物質を除去し、筋緊張を緩和する

東洋医学のツボの位置とトリガーポイントがほぼ同じなので、トリガーポイントの刺激で自律神経のバランスが安定し、様々な身体機能・自然治癒力が高まるといった効果も期待できます。
また、トリガーポイント注射は、局所をピンポイントで注射するので、お薬の量が少なくても効果がすぐに現れやすく、消炎鎮痛薬や理学療法が有効でない方や、痛みを早くなくしたい方にお勧めです。慢性的な痛みにお困りの方は、『トリガーポイント注射』を是非ご利用ください。

トリガーポイント注射と
ブロック注射の違い

トリガーポイント注射とブロック注射の違いトリガーポイント注射とブロック注射は、いずれも痛みに対する治療です。トリガーポイント注射は、数々の痛みのきっかけとなる場所に注射します。用いられるお薬は局所麻酔薬で、他のブロック治療で使われるものと同じです。
筋・筋膜性疼痛症候群の一般的な症状(肩や肩甲骨の痛みやこり、頭痛、首の痛み、目の奥の痛みなど)に適しており、その他にも四肢、背中、腰、肩、首など全身の筋膜や腱膜の痛みにも効果的です。しかし、強い神経痛に対してはさほど効果が見込めません。
一方、ブロック注射は様々な痛みに有効で、打つ場所に応じて効果が現れます。硬膜外ブロック、腕神経叢ブロック、神経根ブロック、星状神経節ブロックといった種類があります。当院では肩甲上神経ブロック以外は、専門のペインクリニックにご紹介する場合が多いです。

トリガーポイント注射の
方法

トリガーポイント注射は患部にダイレクトに注射するため、患部を露出して頂きます。首・肩周りでは座位、腰回りではベッドでうつぶせの状態になって頂き、医師が注射を行います。
当院では、トリガーポイント注射で使用する針は25ゲージで、一般的な採血で用いる21ゲージの針と比較して非常に細くなっています。皮膚に針が刺さる時にチクッとした痛みを感じ、お薬が入る時にも少し痛みを感じることがあります。
当院では、トリガーポイント注射に局所麻酔薬と消炎鎮痛薬の合剤であるネオビタカイン®︎を使っています。これはトリガーポイント注射によく使用される薬剤です。
局所麻酔薬が含まれることから、安全に使用可能な最大量である5ml以下の薬剤を用いています。

トリガーポイント注射の
副作用と合併症

合併症

  • ブロック針が貫通した場所から少しの出血
  • あざ、皮下出血
  • 消毒薬に対する皮膚の発赤などのアレルギー症状

重篤な合併症

  • じんましん(サリチル酸への薬剤不耐症)
  • 使用薬剤へのアレルギー症状
  • 神経障害(0.06%)
  • 局所麻酔中毒(10000例に1.2~11例程度)

注射後に気分が悪くなった場合、当院では処置室のベッドで休んで頂くことが可能です。
もしも、ご帰宅後に具合が悪くなった場合は当院まですぐにご連絡ください。

トリガーポイント注射は
根本治療?効く期間は?

トリガーポイント注射は根本治療?効く期間は?トリガーポイント注射は筋・筋膜が原因の痛みに対しての治療法です。局所麻酔が使われるため、一時的に痛みを抑える方法と誤った認識を持たれることがありますが、根本療法として行われます。
局所麻酔自体の効きは1~2時間ほどですが、過敏になった筋・筋膜の神経を一時的に休ませ、痛みの慢性化の原因を断ち切るため、その後も鎮痛効果が持続します。
筋肉が硬結している部位は、神経活動が過剰になっているため、より痛みを感じやすい状態です。局所的な炎症も生じていると推察されるため、トリガーポイントの薬理学的作用により炎症を抑えるために注射します。その一方、発痛物質の蓄積や筋肉と筋膜の癒着によって痛みが起きている場合もあります。トリガーポイント注射では、発痛物質を除去するウォッシュアウト効果、癒着を改善する筋膜リリース作用も期待できます。

トリガーポイント注射をやりすぎると
どうなる?

トリガーポイント注射を続ける期間は、患者様の症状によって異なります。当院でトリガーポイント注射を通常3~5回程度実施し、その後は経過観察しながら継続の有無を考えます。経験上、半数程度の患者様は3~5回の注射で治療を終了しています。注射の効果があまり見られない場合や、トリガーポイント注射の継続が長期間必要になっている場合は別の治療法をご提案します。トリガーポイント注射は安全性に非常に優れているため、症状が重度の場合は毎日続けて注射を行うことも可能です。